日本におけるオステオパシーの発展

皆さんは「オステオパシー」が日本にいつ、どのように伝わったのかご存じですか? オステオパシーは、アメリカでA.T.スティルによって19世紀に生まれた徒手療法ですが、日本に本格的に広まるまでには長い歴史があります。今回は、日本におけるオステオパシーの歩みについて分かりやすくまとめました。
オステオパシーの日本への導入(1900年代初頭~戦後)
日本でオステオパシーに関する記録が最も古いのは1910年に遡ります。 山田氏という人物が著した書物の中に、徒手療法を用いた自然治癒法としてオステオパシーが言及されています。
しかし、本格的に広がりを見せたのは第二次世界大戦後。 当時、オステオパシーは接骨医や東洋医学の医師、鍼師などが独自に研究・実践する形で広まっていきました。
また、1970~80年代になると、オステオパシーに関心を持った日本人が英国や米国へ渡り、入門セミナーを受講。さらに、海外のオステオパスやオステオパシー医を日本に招いて、短期セミナーを開催する動きも活発になりました。
オステオパシー教育の始まり(1980~1990年代)
正式なオステオパシーセミナーの開催
1986年、オステオパシー界の著名な人物であるヴィオラ・フライマンとフィリップ・ポメランツが来日し、東京で3日間のセミナーを開催しました。 これは、日本におけるオステオパシー教育の正式な始まりとされています。
その後、米国のカークスビル・オステオパシー医科大学の代表者も日本を訪れ、日本政府にオステオパシー医学を法制化し、臨床を認めるよう要請しましたが、残念ながら実現には至りませんでした。
日本初のオステオパシー養成校の誕生
1990年代中頃には、日本で初めてのオステオパシー養成校である「ジャパン・カレッジ・オブ・オステオパシー」が設立されました。 3年間のカリキュラムが組まれ、卒業生にはオステオパシーのディプロマ(卒業証明書)が授与されるようになりました。
ただし、日本では現在もオステオパシーの国家資格がないため、卒業生は接骨医や東洋医学の資格のもとでオステオパシーの手技を実施しています。
日本オステオパシー連合(JOF)の設立と発展(1998年~)
1998年には、オステオパシー教育のさらなる発展を目指し、**JOF(日本オステオパシー連合)**が法人として設立されました。 これは、日本におけるオステオパシーの自主規制団体の役割を果たすもので、公式な育成プログラムや認定制度を確立しました。
このJOFによって、一定の基準を満たしたオステオパスには「MRO-J(Member of the Registry Osteopathy-Japan)」という認定資格が与えられるようになりました。 現在、JOFの会員数は400名以上、MRO-J資格者は150名を超えるとされています。
現在の日本におけるオステオパシーの動向
現在、日本ではオステオパシーの法制化はされていませんが、教育機関や専門家の数は増え続けています。 特に、海外でDO(Doctor of Osteopathy)を取得した日本人が増えており、彼らが日本で教育や普及活動を積極的に行っています。
例えば、
✅ 2008年には、日本人DOが**「アトラスオステオパシー学院」**を東京近郊に設立。
✅ 英国のオステオパシー学校を卒業した日本人が帰国後、教育や普及活動を推進。
✅ 長年オステオパシーを学んできた整形外科医らが、全国でオステオパシーの手技療法を実践。
これらの動きにより、日本におけるオステオパシーの認知度は少しずつ向上し、専門的な教育を受けた施術者も増えてきています。
まとめ:日本でのオステオパシーの未来
現在、日本ではオステオパシーの資格制度が整備されていないため、接骨師や鍼灸師、理学療法士などがオステオパシーの技術を取り入れる形で実践しています。
しかし、教育機関の増加や海外で学んだDOの活躍により、日本におけるオステオパシーの発展は続いています。 今後、さらなる認知拡大や制度の整備が進めば、日本でもオステオパシーがより一般的な治療法として確立される日が来るかもしれません。
オステオパシーに興味のある方は、ぜひ専門的な教育を受けた施術者を探してみてください!
参考文献
- Osteopathic Medicine より引用